人生には結婚、出産、子育て、介護などさまざまなライフステージがあり、その変化によって働き方に求める条件も変わります。薬剤師という職業は就職先が多様なだけでなく、働き方の柔軟性が高いことから、人生のフェーズに合わせて職場を選び直すことがしやすい点が特徴です。とくに近年は、柔軟な働き方を後押しする制度を導入する職場も増えており、より自分に合った環境を見つけやすくなっています。この記事では、ライフステージごとに考慮したい職場選びのポイントを3つの視点から解説します。
社会人としての基礎力を築く時期は、経験値を積める環境に身を置くことが将来の選択肢を広げることにつながります。最初は覚えることが多く大変でも、調剤・服薬指導・在宅業務・チーム医療など、幅広い業務を経験できる職場を選ぶことで、自分の適性や関心が見えてきます。
この段階では給与や勤務時間だけで判断せず、「学べる環境」であるかを重視することが大切です。キャリアの土台を作るという意識で職場を選ぶことが、将来の転職やキャリアアップにもつながります。
さらに、OJTや研修制度が整っている職場を選ぶことで、安心して成長を重ねていくことができるでしょう。
子どもがいる場合は、勤務時間の調整や休暇取得のしやすさ、急な休みにも対応できる職場風土があるかが鍵になります。時短勤務制度や育児休暇の実績がある職場、周囲のスタッフに子育て経験者が多い環境では、急な発熱や行事への参加などに対しても理解が得られやすく、働きながら子育てを続けやすい土壌が整っています。
また、フルタイムでなくても責任ある仕事を任せてもらえるか、スキルアップの機会が用意されているかも重要なチェックポイントです。柔軟なシフトや在宅勤務の選択肢があることで、より多様な働き方が可能になり、家族との時間を確保しながらも専門性を高めることができます。
介護や健康不安といった課題に直面する年代では、無理なく続けられる職場環境と、やりがいのある役割とのバランスが求められます。週4日勤務やシフトの固定化、通勤時間の短縮など、負担を軽減しながら働ける工夫がある職場では、身体的・精神的なゆとりを保ちながら仕事に向き合うことができます。
一方で、定年後も再雇用制度や継続研修制度を活用して働き続けられる環境を選ぶことで、スキルを活かしたセカンドキャリアも描きやすくなります。「今の自分」に合った働き方を選ぶだけでなく、「将来の自分」にもマッチする環境かどうかを見極めておくことで、長く安心して働けるキャリアを実現することができます。