薬剤師は、患者の体内に直接注入する様々な薬品を調剤しています。その中でも、特に重要なのが注射調剤です。医薬品とは異なって、そのまま有効成分を取り入れることになるので専門的な知識やスキルが求められる大切な業務です。
注射薬の調剤は、患者の安全と治療効果を最大に引き出すために薬剤師が行います。実際に、患者の病歴はもちろんですがアレルギー情報を考慮しながら適切な薬剤の選定が求められます。特に重要なのが、無菌操作と呼ばれる準備です。
そもそも、薬剤を調剤する場合には周囲の細菌やウイルスのことを考えなくてはいけません。それらが万が一にでも薬剤に注入すると、大きなトラブルが発生する可能性があるからです。そのため、注射調剤を行う場合には周囲の環境を整えながら衛生面で徹底的に管理して進めていく必要があります。
こうした環境は、病院側でも無菌室などを準備してきちんと用意しているのが特徴的です。
病院では丁寧な注射調剤を進めていくことで、初めて高度な薬物医療ができるようになります。この典型的なものが、がん治療です。がん患者に対しては化学療法が利用されることがほとんどですので、そのための治療計画を考えなくてはいけません。
体調や病気の進行状況を把握しながら、その患者に必要な注射の状況を考えていきます。実際に、注射の場合は普通の医薬品以上に投与間隔を重要視しなくてはいけません。
がんは、その患者のステージに対して必要な栄養や薬の成分を正確に判断していかなくてはならないので、そのための投与間隔が不可欠になるからです。これらは、薬の有効成分の効果や副作用のことを理解しておかないと実現できないので専門家の役割は非常に大きいです。
病院で処方される医薬品の中には、場合によっては患者に対して服用できないものも存在します。これは、注射であっても例外ではありません。このような時に、病院側に対して本当にそれにリスクが存在しないかを伝える役割を担っているのも薬の専門家です。
例えば、問題がある薬に関しては病院側だけではなく厚生労働省などしかるべき機関に連絡を入れる必要もあります。現状で提供されて医薬品は確かに高い効果を発揮しますが、万能とは限りません。このような疑義照会と呼ばれる作業を通して、正確な医療環境を整えて注射を打てるようにしているのが薬のスペシャリストです。